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建物の数、大きさを加味した重み付け分布
前出の図は、建物が出土した遺跡の分布で、建物の数や大きさが入っていません。
出土した建物棟数を図示する手法は、小型の独立棟持柱建物と超大型の総柱建物を同じ1棟で計数することになり、地域ごとの建物規模を表すには不適当と思われます。
比較尺度の一つが出土建物の総面積での比較です。でもそこには建物の立派さ、重厚さ、荘厳さの評価は入りません。柱の太さ、使用柱の本数、一間の間隔、建物の高さなどが建物の立派さを示す尺度となるのでしょう。
例えば、滋賀県の伊勢遺跡の独立棟持柱建物は、荘厳に見せるためでしょうか、必要以上に太い柱を必要本数以上に使っています。しかも長い柱を使っています。
このような視点で建物の点数付けをしたいのですが、基礎データにある全建物でデータを揃えるには無理があります。
とりあえず簡便法として、床面積の積算データで比較してみました。
独立棟持柱建物の府県別出土数(面積規模、棟数)
府県別に [建物の面積、棟数] を積算した結果を示しています。
府県別独立棟持柱建物の規模
府県別独立棟持柱建物の規模(総面積)(作成:田口一宏)

こうしてみると、独立棟持柱建物に関しては滋賀県が圧倒的に大型の建物を多数出土していることが分かります。
これだけでは、各地の建物の棟数が分からないので、棟数〜面積規模の関連図を示します。
府県別独立棟持柱建物の棟数と規模
府県別独立棟持柱建物の棟数と規模(総面積)(作成:田口一宏)

横軸が建物の棟数で、縦軸が上の図と同じ重み付け規模です。
直線は 建物の平均面積が20uとなる線で;
この線より上になるほど、大型の建物が多い、ということです。
直線上に乗っている地域は小型の建物ばかり、ということになります。

この図を読み解くと
・滋賀や大阪は大きな建物が多い。棟数だけを見ると滋賀が圧倒的に多い。
・兵庫や三重にもやや大きい建物が多い。
・鹿児島は棟数は多いが、建物は小型である。佐賀にも小型の独立棟持柱建物がある。
大型・特殊建物の府県別出土数(面積規模、棟数)
府県別に [建物の面積、棟数] を積算した結果を示しています。
府県別大型建物の規模
府県別大型建物の規模(総面積)(作成:田口一宏)

図からは、福岡県が圧倒的に大型の建物が多数出ていることが分かります。
次いで多いのが滋賀県になります。
ここでも棟数と重み付け規模(規模指数)の関連図を示します。
府県別大型柱建物の棟数と規模
府県別大型建物の棟数と規模(総面積)(作成:田口一宏)

横軸が建物の棟数で、縦軸が上の図と同じ重み付け規模です。
直線は 建物の平均面積が30uとなる線で;
この線より上になるほど、大型の建物が多い、ということです。
直線上に乗っている地域は小型の建物ばかり、ということになります。

この図を読み解くと
・福岡が圧倒的に棟数が多く規模も大きくなっており、「超大型建物」が多数ある。
 結果的には、府県別遺跡数の傾向と同じなのですが、視覚的に理解しやすいと思います。
・佐賀、愛媛は棟数はそれほど多くないが、超大型建物が多い。
・滋賀、大阪は多くの棟数の建物があるが、「超」の付かない大型建物となっている

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