ヘッダー画像
大型建物のあるところ

基礎データは第6章に掲載しています。それを基に解析・整理した内容を記します。
独立棟持柱建物(弥生時代)
弥生時代を通してこれまでに把握している独立棟持柱建物の所在地を図に示します。
番号は基礎データに記された一連番号に対応します。
遺跡の中で見つかった最も大きい建物のサイズのランク分けによって記号を付けています。
見つかった棟数は ここには反映されていません。
建物サイズの区分は「用語の定義」で決めたとおりです。
独立棟持柱建物建物を検出した遺跡
独立棟持柱建物建物を検出した遺跡
(弥生・古墳時代の独立棟持柱建物に関する考察 山下優介 2015 を基に加筆作成)

独立棟持柱建物は近畿圏とその周辺に多く、大型、超大型ともにこの地域から見つかっています。
全国的に見ると、九州、四国、山陰、関東からも小型ながら独立棟持柱建物が出ています。
王権が確立し栄えていた北九州にはほとんどなく、あっても小型の建物しかみつかっていません。
鹿児島あたりに数ヵ所独立棟持柱建物が出ていますが、興味深いことです。
番号のみで印が付いていいない個所は古墳時代の建物です。
大型・特殊建物(弥生時代)
ここでは大型建物を2つに区分したその他の「大型・特殊建物」の所在地を示します。
上の図と同じく、遺跡の中で見つかった最も大きい建物のサイズによって記号を付けています。
ただ、大型、超大型のマーク付けをする基準を変えています。基礎データは大型建物を対象として情報を掲載しているため40u未満は少なく、前で設定した定義通りの区分をすると、大多数が大型となり、超大型も多くなり地域の分布傾向が掴めません。
このため、図中では 大型は60u以上、超大型は120u以上に基準値を大きくしています。
独立棟持柱建物建物を検出した遺跡
大型物・特殊建物を検出した遺跡(作成:田口一宏)

その他の大型建物、超大型建物の出土は北部九州に圧倒的に多く、特に福岡県と佐賀県の一部に多く 見られます。福岡県の中でも西部地区に多く、魏志倭人伝に書かれた伊都国、奴国周辺に当たります。 隣接する福岡県東部での大型建物の出土が少ないのは興味深いことです。 北部九州ほどではないものの、近畿でも大型の建物が多く見つかっています。本州に限れば、独立棟持柱建物が多く見つかる地域(中国地方、四国)には大型・特殊建物も多く見つかっています。
青銅器祭祀圏と似た傾向
弥生時代の青銅器祭祀の地域性と比べて見ると、
・青銅武器の祭祀は北九州を主体に四国、中国地方に広がっている
・銅鐸祭祀は近畿・東海圏を主体に四国、中国地方に広がっている
・これらは厳密な区分けではなく、北九州でも少数ながら銅鐸が見つかり、逆に近畿圏でも少数の
    武器型青銅器が見つかっている
この地域性は、大型建物にも当てはまる傾向です。北九州には独自の弥生文化があり、近畿&周辺にも
独自の弥生文化があり、中国・四国は両方の影響を受けているということでしょう。

mae top tugi