その他近江の大型建物
近江ではその他の遺跡でも、独立棟持柱建物が1遺跡に1棟〜2棟が見つかっています。2棟の場合は、同時に存在したのではなく、位置を変えて建替えられた結果のようです。
針江川北遺跡
弥生時代後期の集落で、独立棟持柱建物SB14と円形の柵列に囲まれた建物SB15が集落の中央にあります。 周辺には竪穴住居群が、その外側に濠があり、その外に墓域が広がっています。 この構成から祭殿と特別な建物と分ります。 同じ地区にSB12とSB13の掘立柱建物があり、時期的にはこちらが早く、SB14、SB15が後となります。 ここでは、一般集落の祭祀域の在り方が示されています。 針江川北遺跡の遺構図 出典:集落内祭祀と集落の企画性:近藤広 |
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独立棟持柱建物SB14のデータ
柱構成:3間×1間
桁行:4.5m 梁行:4.4m 面積:20u 針江川北遺跡独立棟持柱建物 出典:集落内祭祀と集落の企画性:近藤広 |
黒田遺跡
古墳時代初頭の集落です。
独立棟持柱建物 祭殿aと SB05が先行し、次いで 独立棟持柱建物SB02、SB03に建替えられます。 黒田遺跡の遺構図 出典:集落内祭祀と集落の企画性:近藤広 |
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独立棟持柱建物SB02のデータ
柱構成:3間×2間
桁行:5m 梁行:4.4m 面積:22u 黒田遺跡独立棟持柱建物 出典:集落内祭祀と集落の企画性:近藤広 |
稲部遺跡
古墳時代初頭の集落で、遺構・遺物などから金属加工を行っていたと推定されます。
独立棟持柱建物、竪穴建物、総柱建物、掘立柱建物が集中しており、井戸とそれを覆う建物もあります。 これらの建物が全て同一時期に存在したのではないものの、建替えながら、祭祀と金属加工を行う中枢部でした。 稲部遺跡の遺構図 (彦根市発掘調査報告書より作成) |
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独立棟持柱建物のデータ
SB-01
柱構成:3間×1間
SB-02
桁行 3.8m 梁行 2.6m 面積 10.0u
柱構成:3間×1間
桁行 4.3m 梁行 2.6m 面積 11.2u 稲部遺跡独立棟持柱建物 出典:集落内祭祀と集落の企画性:近藤広 |
十里遺跡
弥生時代後期から古墳時代初頭にかけての集落で、中央部に大きな掘立柱建物を設け、その周囲には住居など作らない空閑地としています。
中央部の建物6は、集落内で最大の近接棟持柱建物です。 銅製品や祭祀用の遺物も多く出ています。 十里遺跡の遺構図 (滋賀県発掘調査報告より作成) |
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近接棟持柱建物6のデータ
柱構成:3間×1間
桁行 5.1m 梁行 4.8m 面積 30u 十里遺跡独立棟持柱建物 (滋賀県発掘調査報告より作成) |